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構造設計一級建築士

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構造設計一級建築士は、一級建築士の免許をもつ建築士の中でも一部の建築士のみが保有することができる、特別な免許を持つ建築士です。

2005年に起きた耐震偽装問題を契機に、建築物の安全性及び構造設計の信頼性を高める目的で2008年に創設された比較的新しい資格となります。この資格は、構造設計のスペシャリストとしての証でもあり、原則1級建築士として5年以上の構造設計業務に従事したのち、国土交通大臣の登録を持つ登録講習機関が実施する講習課程を修了することが必須です。

構造設計一級建築士の役目としては、構造設計が高度な構造設計技術の求められる大規模建築物に対し、自ら資格者として構造設計を行うか、または他の一級建築士が設計した建物の構造設計を確認するという点にあります。逆に言うと、構造設計一級建築士が関わる事なく大規模建築物の構造設計が成される事はありません。

2019年現在、一級建築士は37万人超いるのに対し、構造設計一級建築士は日本全国に9,986人しか資格保持者のいない、極めて希少な資格となります。就職や転職の際にはとても有利に働く資格となります。

参照元:公益社団法人 日本建築士会連合会/平成31年度 4月1日現在 建築士登録状況[PDF]

構造設計一級建築士ができること

高層ビルや超高層マンションなど、一級建築士では構造設計を完了できない一定規模以上の建築物に対して、自ら構造設計を行う、または有資格者として構造関係規定への適合性の確認を行います。

一定規模以上の建築物とは、具体的に

  1. 木造建築物で、高さが13m以上または軒の高さが9m以上のもの
  2. 鉄骨造建築物で、地階を除く階数が4階以上のもの
  3. 鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物で、高さが20m以上
  4. その他政令で定めるもの

を指しています。

構造設計一級建築士になるには?

受験資格について

まずは、一級建築士としての資格を有している必要があります。そして、一級建築士として5年以上の構造設計の業務経験を有している必要があります。具体的に業務経験とは、構造設計業務に加えて次の業務内容を含みます。

  1. 構造に関する工事監理業務
  2. 建築確認の構造に関する審査とその補助業務
  3. 構造計算適合性判定とその補助業務

なお、構造に関する工事監理の補助業務および構造設計の補助業務ですが、2013年9月まで携わっていた業務は業務経験として認められます。しかし、それ以降に携わった業務は認められません。

試験の流れ

試験は、「講義」と[修了考査]に分かれています。まずは、2日間に渡る「講義」を受ける必要があります。その後、「修了考査」を1日かけて受験します。「修了考査」は法適合確認と構造設計の2つに分かれていますが、構造設計一級建築士になるには両方に合格しなくてはいけません。もし片方の試験に落第した場合は、翌々年の試験までは合格した区分の講義および考査が免除となります。初めて受験される方は、全てを受講および受験する必要があります。

講義の内容

講義の内容は、6本立てで合計12時間あります。2019年度の場合、第1日目の1限は構造設計総論(建築構造設計のあるべき姿)が1時間、続けて2限が構造設計総論(荷重・外力と建築物の応答)が2時間あります。昼食休憩を挟み、午後には3限の構造関係法令及び法適合確認の授業が4時間あります。第2日目は、1限に構造設計の基礎を1時間20分、続けて2限に耐震診断・耐震補強が40分、昼食休憩を挟んで最後の3限に構造設計各論が3時間あります。

修了考査の内容

考査は2つのパートに分かれており、1日かけて行われます。1つ目は構造関係規定に関する科目で、午前中に実施される法適合確認の区分になります。出題内容は記述式問題が5問設定され、3時間以内に解く必要があります。2つ目は建築物の構造に関する科目で、午後に実施される構造設計の区分です。出題内容は四肢択一式問題が20問と記述式問題が3問となっており、同じく3時間以内に解答しなければなりません。

これらの内容は、構造設計の実務経験者でもかなり難しい内容が設定されており、さらには講義の内容からのみ出題されるわけではありません。講義を受講した日から修了考査までにはある程度時間があるので、合格するためには充分な試験対策を講じる必要があります。

申し込み方法

郵送による受付のみです。申し込む際にはまず、受験申込書を1,080円で購入します。こちらは、建築技術教育普及センターの各支部または各都道府県の建築士会で入手できます。頒布期間は2019年度の場合、5月20日から1ヶ月間でした。申し込みには、受験申込書・受講手数料払込受付証明書・写真2枚(縦4.5cm、横3.5cmで申し込み前6カ月以内に撮影したもの)・受講資格を証明する書類(実務経歴書や過去の受験票など)を提出する必要があります。(経歴や受験歴により提出書類が異なります。詳細は、建築技術教育普及センターのホームページで確認してください)

資格の難易度

大規模建築物に関わりたい方には必須となる構造設計一級建築士。厳しい試験を通過し、一級建築士として実務経験を積まれた方々でもなかなか合格できない超難関と言われています。毎年の全受験者数における合格率は30%前後ですが、年によって合格率にばらつきがあります。ここ5年間の合格者数は毎年200 – 300人前後で推移(※)しています。

※参照元:公益財団法人 建築技術教育普及センター/構造設計一級建築士講習データ

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